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木の叶の鱼

作者:高考题库网
来源:https://www.bjmy2z.cn/gaokao
2021-01-29 10:14
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-sgn

2021年1月29日发(作者:轻轻的)


第五課



木の葉の魚




アイは、貧しい漁師の娘でした。





その漁師の家の貧乏さかげんとい ったら、財産は何一つなく、


借り物の小舟が一艘に、


借り物の 網が、


たった一枚あるだけでした。


それなのに、子供ばかりは 十人もいて、おまけに、その子供たちを


養う父親は、病気ばかりしているといった具合 でした。





さて、


その家の一番上の娘のアイが年頃になって、


いよいよ ど


こかにお嫁にやらなければならなくなった時、


母親は自分の 娘をつ


くづくと眺めて考えました。





こんなに色が黒くて、


学校にもろく に行かなかった娘を、


もら


ってくれる人がいるだろうか……< /p>





それでも 、


自分の娘は、


なんとか幸せになってほしいと願うの


が親心というもので、


アイの母親は、


村の人に 会うたびにこんなふ


うに頼んだものでした。





「うちのアイに、


お婿さんを探しておくれ。


ご覧のとおりの貧


乏人で、


仕度はなんにもしてやれないが、


嫁入りの時には、とっと


きの道具を一つ持たせてやるつもりだから」





村の人達はふんふんと頷きました が、


アイの家の山ほどの借金


の事を思い出して、


誰一人本気でアイのお婿さんを探そうとはしま


せんでした。





ところが、

< p>
このアイを大喜びでもらおうという人が出てきまし


た。

< br>それは、


遠い山の村から時々野菜を売りにやってくる婆さんで、


山番をしている自分の息子の嫁に、


ぜひアイをほしいと言い出した

< p>
のです。その婆さんの話はこうでした。





「貧乏はお互い様だ。


アイちゃんみ たいに働き者の娘をうちの


嫁さんにもらえたら、


どんなに助か るかしれない。


仕度はなんにも


いらないから、体一つで来てお くれ」





これを聞いてアイの母親は大喜びしました。


願ったりかなった


りの話だと思ったのです。





こうして、


それからいくらも経たないうちにアイは、


山からや


って来た行商の婆さんに連れられて、


まだ 見たこともない人のとこ


ろへ嫁入りすることになったのです。





いよいよアイが村を離れる前の晩 に、


母親は古い鍋を一つ出し


て来てこう言いました。





「いいかい、< /p>


アイ、


これがお前のたった一つの嫁入り道具だよ。


汚い鍋だけれど、これ一つがお前を幸せにするからね」





アイは、


ぽかんと母親を見詰めました。


母親はそのアイの耳に


口を寄せ て、鍋の蓋をそっと開けました。





「これから母さんの言う事をようく覚えておくんだよ。


これは


不思議な鍋でね、この中に山の木の葉を二、三枚入れて蓋をして、

ちょっと揺すって又蓋を開けると、


木の葉はすばらしい焼き魚にな


るんだよ。そこに柚子でも絞って食べてごらん。


そりゃもう、


とび


きりの御馳走だから」





アイは目を丸くして、


そんな不思議 な品物が、


一体どうして自


分の家に合ったんだろうかと考えま した。


すると母親はアイを両手


で抱き寄せてささやきました。





「この 鍋には母さんの祈りがこもっているんだよ。


お前が幸せ


になる ように、


母さんは百日、海の神様にお願いして、


この鍋をも< /p>


らったんだから。だけどね、


このことをようく覚えておおき。< /p>


あん


まりやたらにこの鍋を使ってはいけないよ。


なぜって、


この鍋には


入れられた木の葉が焼き魚に変 わる時に、


海ではちょうど同じ数の


魚がお前のために死んでく れるんだからね。


その事を考えて、


この


鍋は嫁入りをした最初の晩と、


それから本当に大事な時にだけ、

使


うんだよ」





アイは頷きました。


母親は鍋をてい ねいに風呂敷に包んで、



イに手渡しました。





こうして、

< p>
鍋を一つ抱えただけの海の娘は、


お姑さんの後につ


いて旅立ったのです。





長い道程でした。





二人はバスに三時間も揺られたあと、


石ころだらけの山道を何


時間も歩きました。


おろしたての草 履が磨り減って、


鼻緒が切れる


くらい歩き続けた時、やっとが けの下の小さいな家に着きました。





それは緑の木漏れ日に包まれた草屋根の家でした。


家の前には


高い朴の木と小さな葱の畑がありました。

< br>




「ここだここだ。


ここが、


わしらの家だ」とお姑さんが言いま


した。アイは目をぱちぱちさせて、


「いい家ですねえ、


立派な 屋根


ですねえ」


といいました。


アイが 今まで住んでいた海の家はトタン


葺きで、


屋根には石がたくさ んのせてあったのです。


それに比べる


と、

この草屋根はなんとどっしりとぶ厚くて、


温かい感じがするん

だろうかとアイは思いました。





すると、その家の戸ががらっと開いて、これはまた、どっし り


としてあったかい感じのする若者が顔を出しました。


若者は アイを


見ると、


それはいい感じに笑ったものですから、


アイは一目でこの


人が好きになりました。





その夜、


アイは母親からもらった鍋を使って、


とびきりおいし


い魚の料 理をこしらえました。





鍋の中に、


朴の葉を三枚並べて蓋をしてちょっと揺すって、

< p>


蓋を開けると――





どうでしょう。


鍋の中にはカレイが 三匹、


ちょうどいい具合に


こんがりと焼けていたのです。





アイは、< /p>


焼きたての魚に塩を振り掛けてお皿にのせて食卓に運


びました。


料理の上手なお嫁さんが来たことを、


アイの夫はただも


う喜びました。


けれども、


お姑さんは箸を動 かしながら首を傾けま


した。




(はて、これはどうしたわけだろう。魚はどこで手に入れたんだ


ろ う。たしかに、この娘は鍋一つしか持って来なかったのに……)





けれども、


お嫁さんはそれっきり、


鍋を高い戸棚にしまいこん


で使おう としませんでした。




< p>
静かで平和な日々が過ぎて行きました。


山ではふくろうが鳴き、


鳩が鳴き、


きつねが鳴きました。


そんな動物た ちの声をアイは聞き


分けることができるようになりました。朝は早く起きて水を汲み、


昼は畑を耕し、


夜は機織をして、毎日せっせと働いて、


春が過ぎて


行きました。


< br>ところが、


その年の夏は雨が多く肌寒く、


めったに晴れ る日はあり


ませんでした。


そのために秋になっても山の木の実 は実らず、


丹精


した畑の作物も腐ってゆきました。

< p>




おそろしい飢饉がやって来たのです。





長いあいだアイの一家は、


乏しい食べ物で食いつないできまし


たが、


と うとう細い薩摩芋が一本しか残らなくなった時に、


お姑さ


んは 青い顔をしてアイに言いました。





「いつかの魚の料理を作ってもらえないかねえ。


もう食べ物は


何にもなくなってしまった」





その目は、


あの鍋の秘密をちゃんと 見抜いているように思われ


ました。


アイは頷きました。


こんな時には海の神様も許してくれる


と思ったのです。


アイは家の外へ出て行くと、


木の葉を三枚とって


来 て鍋に並べました。


それから蓋をしてちょっと揺すって、


また 蓋


を開けると鍋の中には、


すずきが三匹じゅうじゅうと焼けて いまし


た。


それを三枚のお皿にとりわけながら、


アイは真っ青な秋の海を


思い浮かべました。


アイは 自分達のために命を捨ててくれた三匹の


魚にそっと手を合わせました。





雑木林の向こうに住ん でいる隣の家の人々がやって来たのは、


それからしばらくあとのことでした。





今ごろ、


魚の焼けるにおいがするので、


ちょっと寄ってみまし


た。


この飢饉に一体どこで魚を手の入れたのか、


それ を聞こうと思


って――





おどおどとへつらうように隣の人は言いました。

< p>
これを聞いて


お姑さんは、アイに魚を焼くように言いました。

< p>
そこでアイは、又


木の葉をお客の数だけ鍋に入れました。





「さあさあ、遠慮なく 食べていってください」とお姑さんは言


いました。お客は大喜びで魚を食べて帰ったの です。





ところが、困ったことになりました。





あの家に行けば、


魚がただで食べられるという噂が、


村から村


へと広ま り、


遠い道を歩いて飢えた人達が、


アイの家をたずねてく


るようになったのです。


アイは、


朝から晩 まで台所に閉じこもって、


木の葉を鍋に入れては魚の料理を拵えました。


ああ、


これで何十匹、


海の魚が死んだろうか……そ んなふうに思いながら、


それでもアイ


は手を休めることができ ませんでした。


魚を食べたい人達は、


それ

でもアイは手を休めることができませんでした。


魚を食べたい人達


は、あとからあとからやって来ましたから。





ある日、とうとうお姑さんが言いました。





「こんなときにただで魚を振舞う こともあるまい。


うちも貧乏


なんだから、魚一匹につき、


米一合でも、大根一本でも、いくらか


のお金でも、もらったらいい と思うが……」





これを聞いてアイはすぐこう答えました。





「あの鍋はやたらに使ってはいけ ないと、


里の母さんに言われ


ました。


ただで魚を上げるのならまだしも、


お金や物と交換するの

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