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ユキ:苦しい。痛い。もう解放して。ねえ、ルカ。最後のときはお願いよ。こ
< br>のまま死ぬ運命なら、解放して欲しい、貴方の手で。貴方が私を殺して。
p>
ルカ:お前を苦しませるようなことはしない。
それはもしものとき
の話だ。
お
前は俺が守る。
ユキ:待って!
ルカ:俺はお前を裏切らない。
ユキ:ルカ!
Story 1
刻、動き出す
桜井夕月:最近、おか
しな夢を見る。だけど、目が覚めると覚えていない。と
ても大事な、忘れてはいけない
ような気がするのに。
若宮
奏多
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:夕月。
夕月:奏多さん。おはようございます。
若宮:おはよう。
夕月:こんなに朝早くどうしたんですか?
< br>若宮:大学に行く前に、これを渡しておこうと思ってね。絵本、探してただろ
う
?
夕月:ありがとうございます。早速今夜、みんなに読んで
あげます。きっとす
ごく喜びますよ。
女の子:夕月君、おはよう。
男の子:お、奏多にもおはよう。
女の子:今日は早いね。
夕月:奏多
さん、みんなに新しい絵本を持ってきてくれたんだよ。
男の子:やった!
女の子:後で読んで。
夕月:じゃ、学校から帰ってからね。
子供:わい、夕月君大好き!
夕月:走ると危ないよ。
子供:行こう。
院長:この間の試合は惜しかったね。
夕月:いえ、院長先生のご指導のおかげです。
院長:いつもバイトの後に、私の趣味に付き合わせて悪いとは思ってるよ。
夕月:そんな。
院長:ところで、何か用だったんじゃないのか?
夕月:これ、奏多さんが、みんなにって持ってきてくれました。
院長:おお、来てるのか。
夕月:はい。
院長:たまには、私にも顔を見せて欲しいものだ。
夕月:仕事先に電話しないといけないみたいで、
今外に出てます。
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元気そうで
したよ。
院長:そう言えば、夕月。
夕月:はい?
院長:部屋を探してるらしいな。
夕月:はい。
院長:焦らなくてもい
いんだぞ。
今すぐにってわけじゃない。
卒業までまだ時
間があるんだし、ここはお前の家なんだから。
夕月:ありがとうございます。もう少しゆっくり考えてみます。
女:夕月君?悪いけど、新聞取ってきてくれない?私うっかりしちゃって。
夕月:はい。これで二通目。やっぱり、僕は要らない人間なのかもしれない。
院長:お前は赤ん坊のときに、
院の垣根のと
ころで泣いていてね。
夕月と書か
れたメモ以外、身元の分かる
ものは何もなかった。
夕月:お父さんとお母さんは僕のことを要らなかったのかな。
院長:夕月。
夕月
< br>:
誰か教えて欲しい、
僕が生まれてきた意味を、
今ここにいるわけを。
は、
はい。
若宮:夕月、途中まで一緒に行かないか?
夕月:すぐ行きます。
若宮:じゃあ
、アパートの件は知り合いに聞いておくから。放課後、家に寄っ
てくれるかな。
夕月:はい。
若宮:何か心配事かい?顔色が優れないようだけど。
夕月:あ、いえ。寝不足で、ちょっと疲れてるのかもしれません。
若宮:眠れないのかい?
夕月:最近、夢をよく見るんです。
若宮:夢?
夕月:でも、起きるとほとんど覚えてないんです。
若宮:僕でよければ話を聞くよ。
夕月は何でも一人で抱え込んでしまう
ところ
があるからね。
夕月:はい、それじゃ、また後で。
九十九:おっかしいな。そろそろここを通るはずなんだけど。
十瑚:雀情報?
九十九:うん。もう、近くにいるんだね。
< br>十瑚:にしてもかわいいわよね。夕月ちゃん昔とちっとも変わってない。
九十九:今は男の子だよ。
十瑚:いいのよ。男の子でもかわいいもんはかわいいもん。
おじさん:こら、君たち。
男:何だよ、おっさん。
おじさん:みんな並んでるんだ。ルールは守りなさい。
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男:へ、ルールだってさ。うぜいだよ、馬鹿。ほらほら、十数えるうち立たな
いと、負けってルールだよ、おじっさん。ルールは守らなきゃな。大人なんだ
から。
十瑚:ちょっと行って来る。
九十九:待って、十瑚ちゃん。
十瑚
:ああいう奴らはいっかいっか抓んどいてやんなきゃわかんないのよ。
九十九:それなら俺が行くから。
夕月:止めてください。
二人:うん?
夕月:それ以上やると、死んじゃいますよ。