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鸟 中日对照 大江健三郎

作者:高考题库网
来源:https://www.bjmy2z.cn/gaokao
2021-02-17 13:43
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-

2021年2月17日发(作者:whee)





数知れない鳥の 羽ばたきが、かれを目覚めさせた。朝、


秋の朝だった。


かれの 長々と横た


わった体のまわりに無数の鳥がびっしり翼を連れねあって絶え間ない羽ばた きを続けて


いる。かれの頬、かれの裸の胸


?

< br>腹


?


腿の皮膚一面を、堅く細い鳥の足が震えを伝えなが


らおおっている。そして暗い部屋いっぱいに、森の樹葉(じゅよう)のさやぎのように 、


いっぱいの鳥たちは、


けっして鳴かず飛び立ちもせず、


黙り込んだままけんめいに羽ばた


きをくりかえしていた。


鳥たちは不意の驚き、


突然の不安に脅かされてそのあまりにざわ


めいている様子なのだ。











かれは 耳を澄まし、


階下の応接室で母親と男の声がひそかに続けられているのを


聞いた。


ああそういうことか、


とかれは鳥たちへ優 しくささやきかけた。


羽ばたきはよせ、


こわがることは何一つ ない、


だれもおまえたちを捕らえることはできない。


あいつr あは、


外側の人間どもはおまえたちを見る目、


おまえたちの羽 ばたきを聞く耳を持っていないん


だ、おまえたちを捕らえることなんかできはしない。



安心した鳥たちの羽ばたきが収まり、


かれの体一面から震える小鳥


(ことり)


の足のかす


かで心地(ここち)よい圧迫が弱まってゆき、消えていった。そしてあとには、頭の皮膚


の内側


(うちがわ)


をむずがゆくし熱っぽく してむくむく動きまわる眠けだけが残ってい


た。かれは幸福なあくびをし、

< p>
ふたたび目をつむった。


眠けは、


鳥たちのように はかれの


優しい声に反応しないから、


それを追いやることはむ つかしいのだ。


それはしかたのない


ことだ。眠けは現実の一部 ということだ、


《現実》は鳥たちのように柔らかく繊細(せん


さい)な感情を持っていない。かれのごく微細(びさい)な合図(あいず)だけでたちま


ち消え去って行く


《鳥たち》


に比べて、

《現実》


はけっして従順


(じゅうじゅん)


でなく、


がんこにかれの部屋の外側に立ちふさがっていて、かれの合図をはね つける。


《現実》は


すべて他人のにおいを根強くこびりつかせ ているのだ。


だからかれはもう一年以上も暗く


した部屋に閉じ こもって、


夜となく昼となく部屋いっぱいになるほど群れ集まって訪れる


鳥たちを相手にひっそりと暮らしてきたのだ。



段 階を上がってくる足音がしていた、


それは珍しいことだった。


足音は近づいて来てとび


らの向こうで止まった。


かれは体をこ わばらせて待った。


とびらを柔らかい指がたたいて


いた。


「ねえ、開けてほしいの、


あなたに会っていただくかたがいらして るのよ。


」と母親


の控えめな声がした。


「ねえ、悪いかたじゃないの、開けてください。




かれは黙って息を詰めていた。


とびらの向こうにも同じような充実し た沈黙があった。



してそれはかれが黙っている間、


しんぼう強く断続した。


ふだん外部からやって来ようと


する者たちは、


せっかちにとびらをがたがたやったり怒気

(どき)


を含んだ声を立て続け


に浴びせてよこしたりする 。


そして足音も荒く引き返して行くか、


肩をとびらに押しあて


て押し入って来ようとしたりするのだ。


しかし今日の客は遠慮 深く、


しかし執拗


(しつよ


う)に待ち 続けていた。


かれは上体をベッドに起こし、


ごく短い間考えた 。かれは一月近


く外部の人間と会っていなかった。


かれは床に 敷きつめた深いじゅうたんの上を足音も立


てずに歩き、とびらの掛けがねをはずしに行 った。





背の低い、


がんじょうな頭をした、


かっ色の皮膚の男がぎこち ない微笑を浮かべ、



ゃっちこばって立っていた。

< p>
かれは余裕に満ちてその男と母親とを見つめた。


久しぶりに


見る外部の人間は生硬(せいこう)な感じで悪くなかった。



「このかたがあなたと鳥のことを話したいとおっしゃるのよ。


」母親は目を 伏せてますま


す体を小さくしながら言った。


「あの道の専門の かたなのよ。






かれは男が実に謙虚に、


しかし情熱 に満ちてかれへ訴えかける目を向けるのへあいま


いにうなずき返した。


その種の用件でかれを訪れる人間は、


たいてい間の悪そうな薄笑い

< p>
を浮かべていたり、


医学的な特殊知識を振り返す冷たい目、


きわめて批判的な目をしてい


たりしてかれを反発(はんぱつ)させたが、そ の男が、その男が違っていた。その男は友


情に満ちた人間的な様子をしていた。そして かれの《鳥たち》についてまじめな、ほとん


ど日常の必要事を検討するような態度を示 そうとしていた。かれはベッドに腰をおろし、


男と母親が向かいあったいすに座った。



「どういうお話ですか。


」とかれは 、自分を異常な人間扱いされることを常にきらってい


たので日常さを印象づけるための 強調をしながらごく平静に言った。



「わたしはいないほうが いいでしょうから。


」と母親が男の答えの前に言い、腰を浮かし


た。そして彼女は大急ぎで出て行ってしまう。



「ええ、え え。


」と少しぎこちない口調で男は意味のないことを言い、窓掛けをたらした


ままで夜明けのように暗い室内を見回した。


「あなたにお尋ねしたいこ とがあって。




「どうぞ、ぼくに答 えることのできる問題でしたら。


」とかれはますます落ち着いて言っ

< br>た。そしてかれはよい感情になった。



「わたしは心理 学をやっていますが、


あなたの体験に非常に興味を持っているんです。



う申すとなんですけれども。



「いいですよ、ぼくの症例(しょうれい)とおっしゃってもけっこうです。


」とかれは寛


大(かんだい)に言った。



「正常とか異常とか、


それはつまらないことです、

< p>


と誠実さにあふれて男は答えた。


「わ


たしは事実をお聞きしたい。




かれは、


自分の体のまわりに、


鳥の群れの喜びの羽 ばたきが、


日のあたっている海の波だ


ちのように、

< p>
光に満ちて数限りなくわき起こるのを感じ、


満足してまわりを見回した。



うなんだ、


これは事実だ、


正常か異常かはぬきにしてこれは事実にちがいない、


とかれは


考えた。



「鳥たちは」と男がメモのための手 帳(てちょう)をひざに開いて慎重(しんちょう)に


言った。


「いつからあなたのまわりへやって来ましたか?」



「二十歳 の誕生日でした。



とかれは明らかに言った。


「それまでにも、


ごくかすかな徴候


(ちょうこう)は ありましたけれども、その日からすべてがはっきりしたんです。



「二十歳の時に、ああ、ああ。


」と男は熱中してメモを 取りながら言った。



「ぼくは鳥たちといっしょに暮らすため に、


大学へ出席することをやめ、


この部屋に閉じ


こもる決心をしたんです。



「なぜですか。もし質問してよければ。


」と男は重々しく考え込みながら言った。



「鳥たちのほかは、


みんな他人だと いうことがわかったからですよ。


この部屋より外には


他人しか いないということがはっきりわかったからです。



とかれは率 直に言った。


「人間


にはある時期に、


他人と触れ合うことを拒


(こば)


みたくなる傾向が起こるんだ と思いま


す。ぼくにはそれが二十歳の誕生日を期して起こったというわけですよ。




「そうですか。



と男はますます考え込んで言った。


「直接に原因となった ような事件の心


当たりがありますか?」


「母によりますとね、それは父が亡くなったからだというんです。


」とかれは客観 性を誇


張(こちょう)して言った。


「父の死後、三人の兄たち がぼくを排除して結束(けっそく)


したんですが、それを原因だと母は言っています。




「もちろんそれは思い違いで?」 と男は善良(ぜんりょう)そうな苦笑(くしょう)を浮


かべて言った。



「ぼくは母にあえて釈明


(しゃくめい)

< p>
しようとは思わないんです。


暗い部屋に閉じこも


って、


耳たぶに触れるほど近くまで鳥の存在を感じていることでぼくは十分に幸福です か


らね。




「幸福、十分な幸福。


」と男は自分自身に言い聞かせるためのように繰返していた。< /p>



「ぼくは鳥たちを身のまわりに感じることに熱中して、


何日も徹夜することがあるんです。


そして昼間はぐったり疲れてうつ らうつらしていますよ。




「あなた は、その《鳥たち》を愛してるんですね。


」と男は言った。



「ええ、ぼくはこいつらをずいぶん気にいっています。




「こいつらを。


」男はおうむがえしに言 い、かれにならって頭をぐるりとひとまわりさせ


た。



「今もかなりの数の鳥がいます。


」とかれは眉をひそめて鳥たちのけ はいに聴き入りなが


ら言った。



「と きには林の樹木


(じゅもく)


の葉ぐらいもあると思われるほど の鳥が集まってくるこ


とがあるんです。


そういう時、


ぼくの体は翼の群れがりに支えられて浮き上がるんです。


< p>


男は夢見るようにはるかな目をし、


かれを力づ け得意にした。


かれは男に友情を感じ、


いしゃべりすぎてしまうのをとどめることができない。



「鳥たちとぼくとの結びつきには、いくぶん性的なものがありますね、正直に言って。




「心から協力していただいて、ほんとうにありがたく思い ます。


」と男はあらたまって言


った。



そして男が立ち上がると、


かれには男がそのまま帰ってしまう ことが非常に心残りなよう


に感じられたくるのだ。


かれは部屋 に閉じこもってからはじめてその男に、


真の知己


(ち


き)を見つけ出した思いだった。



「もうお帰 りですか。


」とかれは自分にもうらめしげに感じられるような声で言った。

< p>


「ええ。



と男は言い 、ためらったあと、


まっすぐかれを見つめて切り出した。


「あ なたは


《鳥たち》がこの部屋特有の現象だと考えているのですか?」

< br>


「どうかなあ。


」とかれは考えこんで言った。


「ぼくはずっとこの部屋にいるから。



< /p>


「ひとつ試してみませんか。



と男は急 に勢いづいて言った。


「この部屋の外でも


《鳥たち》


が現れるとなると、事情は変わってくるのじゃないかと思いますが。そうでしょう。

< p>



「そうだと思います。



とかれは言った。


「試すというのはどういうことかわかり ませんけ


ど。



「わたしの車に乗って、


わたしの研究所までいらしてください。

< br>そこであなたが


《鳥たち》


を呼び寄せることができるか どうかです。


それがあなた自身に由来するのか、


この部屋に< /p>


深いつながりを持っているのかがはっきりしますよ。




男はしだいに雄弁(ゆうべん)


になっていっ た。


かれはそれに押しまくられていた。


それ

< br>はたいせつなことかもしれない、


それは


《鳥たち》


がおれ独自のものかどうかを定めるだ


ろう、


とかれは考えたが男のことばに乗ってゆくことにためらいを感じてもいるのだ。


そ< /p>


こへ母親がとびらの向こうから頭をのぞかせてふいに声をかけた。



「あなた、それをやってみたら?」



「あ?」とかれはびっくりして言った。


「お兄さまたちがいらしたら大反対なさるだろうけど、


もしあなたがやりたいんだ ったら


今がよい機会よ。




そのことばがかれの心を硬化させた。


かれはその試みに頭からすっかり のめりこんでしま


った。



あいつらに おれのいやらしい兄きどもに口出しさせてたまるものか、


おれは試してみたい


んだ、とかれは考えた。



「やってみますよ。



とかれは男を見つめて力強く言った。


「あなたのご研究のためでもあ


るんだから。




かれは久しぶりに学生服を着こみ、


むつかしい作 業のようにさえ感じられる困難さを克服


して、


これも久しぶり のかびの生(は)


えた靴をはいた。部屋に閉じこもってから足が太

ったのだ、とかれは陽気に考えていた。



玄関の前に荷物 を運搬


(うんぱん)


するためにつごうのいいように後部を改造 した乗用車


が止まっているのへ、


かれは男に導かれて乗り込ん だ。


母親が思いつめたような目をして


見送っているのが少しお かしい感じだった。


それに、


雨もよいの雲が閉ざしはじめた空 か


らの光が、


長患い(わずらい)


のあ とのようにかれをくらくらさせ、


足のぐあいもふらつ


いて少し おかしいのだった。



しかし車が走りはじめるとともに落ち着 きがかれに回復した。


座席に深くかけたかれの頸


(うなじ)や 背に鳥たちのためらいがちな接触が感じられ、それはたちまち数を増した。


かれは喜び の感情、


いくぶん勝利のにおいのする喜びの感情に捕らえられて身震い


(みぶ


るい)した。



「鳥た ちがやって来ましたよ、ぼくのまわりに鳥たちが今やって来たところです。


」とか


れは男にささやきかけた。



「男は厳しい 横顔


(よこがお)


をかれに向けたまま運転に熱中していて、< /p>


かれの呼びかけ


に反応を示さなかった。


しかしかれはそれを気にかけないほど、


自動車の中での鳥たちの


到来を幸福に感じていたのだ。


鳥たちは、


おれ自身に属して いるのだ。


おれはどんな遠い


国へ追いやられても一生、


孤独を味わわないで済むだろう、


それは確かなことだ、


とかれ


は考えた。



舗道( ほどう)


を男たちや女たち、


それに子どもたちが歩いていた。


そしてかれはそれら


の人々をいくぶんこっけいに感じるのだ。


これらの人間どもは


《鳥たち》


を持っ ていない、


しかもそれを不安にも思わないでわき目もふらずに歩いている、なんという ことだろう。


かれはいま自分が《外部》に対して強い圧迫


(あ っぱく)を加えることのできる加害者で


あるような気がした。


《外部》はあいかわらず他人のにおいに満ちているが、それはいま


弱々しく萎縮(いし ゅく)していた。数々の他人を家来(けらい)にしている王のように


かれは他人たちの 前でおびえなかった。



車は長い道のりを走りつづけ、そのう ちかれは明るい戸外を見ることに疲れてしまった。


うとうとする。

車が止まる、がっしりした腕がかれの肩をつかまえる。目を覚まし、


かれ


は自分が汚らしい木立(こだち)に囲まれた病院の構内へ入っていることに気づいた。



「早く降りてくれ。



とまったくおうへいな口調


(くちょう)


に変わった男の声が 言って、


かれをびっくりさせた。



「 あ?」


とかれは男の荒々しい


(あらあらしい)


腕に車の外へ引きずり出されてからやっ


との思いで言った。

< br>「ここはどこです。




「おれ の研究室があるんだ。



と男は冷淡


( れいたん)


に言った。


「そう言ったはずだろ?」



上塗り


(うわぬり)


のさ れていない壁の根に背をもたせかけひざを抱え込み、


目を凝らし


て日のかげった塀


(へい)


のすみを見つめながら震えている 男の子どもをかれは見つけて


胸を締め付けられた。動悸(どうき)が激しく打ち始め、 自分の頬が怒りよりもむしろ狼


狽(ろうばい)に紅潮(こうちょう)してくるのがわか った。



「ここは、あんたの言った場所じゃない。

< p>
」とかれは足をふんばって、てこでも動かない


という構えをしてから言っ た。


「ここは気違い病院だ。




「そうだよ、


それがどうした。



と男はせせら笑って言った。


「ここへ入ってもらうという


だけだ。



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本文更新与2021-02-17 13:43,由作者提供,不代表本网站立场,转载请注明出处:https://www.bjmy2z.cn/gaokao/662073.html

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